コウノメソッドの体験談を効率良く参照されたい方は、「目次(時系列に読む)」で「全22話」を順に読むことをお勧めします。「余談」は飛ばして結構です。

2019年6月25日

(第04話/全22話)認知症の患者をどのように受診させたか

2019年8月6日更新

2013年当時、患者(母)は、63歳だった。
認知症全般に当てはまることなのかもしれないが、
特に前頭側頭型認知症(ピック病)は、
本人の病識(自分が病気だと思うこと)がないので、
患者(母)を病院に連れて行くことは困難だった。

「あなたは認知症の疑いがあるから、病院に行け」
「早く治療すれば、良くなるから、病院に行け」
「家族が大変だから、病院に行け」
これらを患者に言ったところで、全く聞く耳を持たず、怒るだけ。


2013年の1月頃、
私が患者(母)を病院に連れて行った方法を紹介する。

1.事前に病院と打ち合わせ
 担当医師と打ち合わせをし、
「私が体調が悪く、患者(母)は付き添いで病院にきた」というストーリーで、
 来院させることにした。

 あからさまに認知症のテストをすると怒り出すので、
 医師が、患者(母)に、「お子さん(私のこと)の生活はどうですか?」と聞き、
 問診ではなく通常の会話で、受け答えが適切かを判断して頂くことにした。
 例)「昔のお子さんの生活はどうですか?何年か前に事故ありましたか?」
   「今のお子さんの生活はどうですか?変わったことありますか?」
   など、会話から患者(母)の状態を判断して頂いた。

 また、近々、旅行する予定があったので、
 「旅行に備えて健康診断をしましょう」というストーリーで、
 血液検査やCT検査を行なうことにした。

2.当日
 「明日病院に行く」など事前に伝えると身構えて絶対に行かなくなる
 そこで、当日の朝に、私が偽の腹痛で苦しみ、タクシーを呼んだ。
 私の付き添いが必要という偽の理由で、患者(母)をタクシーに入れた。

 病院についたら、受付に
 「実は私の受診ではなく、認知症の母の受診です。」とメモを渡した。

 そのあとは、前述の打ち合わせのとおり、
 通常の会話で問診をし、健康診断として血液検査とCT撮影をした

 患者(母)は、「いや、私は大丈夫なんだけど、、、」と周りに反論したそうだが、
 周りを医師や看護師に囲まれた状況では、強く拒否もできなかったらしい。
    ※  最終的には本人の同意のうえでの受診及び検査であり、そのように手続きした。

 結果、前頭に軽度萎縮があり(正確な名称等は忘れた)、
 前頭側頭型認知症の疑い(ただしアルツハイマーの可能性もあり)であった。

 この病院と医師には大変良くして頂いたので、今後も通院したかったが、
 遠方(札幌)であったので通院は無理だった。
 診断書を頂き、家から近い病院(道東の街)を別途探すことにした。

余談
 思い返すと、患者(母)を病院に連れて行くだけなのに、
 大掛かりなプロジェクトで笑ってしまう。
 でも、当時はそこまでしないと、患者(母)を病院に連れて行くことは困難だった。
 病院のベテラン看護師さんが、
 「あなたも大変ね(笑)」と言いながら協力して下さったことをよく覚えている。 

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(第05話/全22話)医師により認知症へのアプローチは異なった


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